東方旧作を3種のエミュレータで遊んで比較する!

目次

1前置き

東方旧作は2024年8月現在でもまだ体験版がダウンロードできる。今回は、

・T98-NEXT                http://akiyuki.boy.jp/t98next/
・Anex86                    [ Anex86 : PC-9801 エミュレータ導入方法 ] - Mr.XRAY
・Neko Project 21/W PC-9800 Series Emulator Neko Project 21/W

の三つのエミュレータを使って旧作を動かす方法と各エミュの違いについて書く。

Neko Projectについては先人の記事があるのでそちらを読んでほしい。

ー検証環境(ざっくり)ー

OS Windows11 23H2

CPU core i5 13400F

チップセット H610

グラボ GTX1660 Super

メモリ DDR4 8GBx2

SSD 500GB PCIe gen3

モニタ FullHD 75Hz

キーボード 10キー付き有線

メインpcなのでかなりのオーバースペック。Wineでエミュが動くならQ4OSを入れた古いノートがあるが用意が面倒なので使わない事にする。

2ファイルの準備

ー旧作のダウンロードー

まずはエミュに突っ込む旧作のファイルを準備しなければならない。

www.kt.rim.or.jp

リンク先のページの下の方からダウンロード。

東方靈異伝は体験版がないので注意!

封魔録は「.lzh」ファイル、他は「.exe」ファイルになっている筈だ。

後の作業に違いが出るので覚えてもらいたい。

GDC切り替えユーティリティのダウンロード(Neko Project 21/Wの場合のみ)ー

GDCクロックの設定を切り替えるのに必要。AnexとT98では2.5MHzにしようとしても

GDCクロックの切り替えの必要はありません」

と出るので恐らく要らない。

ーフォルダの準備ー

おすすめは原作にならってth0○tr(多分萃夢想から)とyoumu、eiyaなどの略する方法(多分妖々夢から花映塚まで)。

th02tr or huma → 封魔録

th03tr or yume → 夢時空

th04tr or gen → 幻想郷

th05tr or kai → 怪綺談

とする(大文字小文字どちらでも良い)。そして各フォルダに、

・huma_ts2.lzh解凍して入れる(DOS上でLHAを使って解凍する事も出来る)

・yume_ts2.exeをそのまま入れる

・gen_ts1.exeをそのまま入れる

・kai_ts1,exeをそのまま入れる

こうしておくと再インストールする時に楽になる。

ー各エミュレータのダウンロードー

http://akiyuki.boy.jp/t98next/
[ Anex86 : PC-9801 エミュレータ導入方法 ] - Mr.XRAY
PC-9800 Series Emulator Neko Project 21/W

これらのリンクからダウンロードできる(少し分かりにくいので注意)。

3OS入りHDDイメージの用意と小話

Windowsがどのマシンでも使えるようになるのは未来の話で98には98用のMS-DOSが必要である、と言っても東方旧作の為だけにMS-DOSを今から中古で買う意味は余り無いと思うので無料で使えてpc-98対応のFreeDOS(98)を使うことにする。有志がDOSインストール済みのHDDイメージを作ってくれている。

bauxite.sakura.ne.jp

FreeDOS(98)各種PC-98エミュレータ用ハードディスクイメージ(HDI形式)

をダウンロードすればOK。

ー小話(飛ばしても大丈夫)ー

そもそも何でこんな記事を書いたのかと言うと、旧作体験版をプレイする方法が変わって、色々調べていたら記事を書くやる気が出てきたからである。じゃあ何が変わったのかというと、

↓昔は出来たが出来なくなった方法↓

ツァイメタ女のHDDイメージのファイルを入れ替えて使う。

→メタ女のサイトが無くなったので不可、web archiveでもDL不可(多分)

古い記事だと大体この方法か実機使用か自力でDOSいじるかである。

・ツァイメタ女のHDDイメージを改造したtouhou_pc98.hdiを使う。

touhou_pc98.zipのファイルが消えてDL不可(一番便利だったので残念)

自分でtouhou_pc98のメニューを作るための解説はあるのでどうしても欲しい人は頑張って。https://blog.goo.ne.jp/o_mo_chi_3/e/6dd6fb90ea1a0eea4e8bc8a8e8f89def

他のメタ女改造hdiとしては与太ラボのHDDImage.hdiがある。

http://yotama.blog84.fc2.com/blog-entry-3.html

↓現在も可能な方法↓

・体験版をフロッピーに入れてMS-DOSを入れた実機で遊ぶ。

→理想だが98実機の入手とDOSの入手、設定で金と時間が溶ける。

FreeDOS(98)を実機にインストールする事も出来る)

・自分でhdiを作り、DOSのインストールや調整も自分でやる。

→ちなみにエミュでMS-DOSを使う場合はこの方法しかない。

・先程のGarbage for FreeDOSなどからDL出来るhdiに旧作を入れて使う方法。

と言うふうに変わった、というか選択肢が減った。

既に三番煎じぐらいになっているが他の人はねこープロジェクトしか使っていない。他のエミュで試した結果もまとめたのがこの記事。最初はAnex86を勧めていたが最終的にはMagpie不要でワンボタンで音量バランス調整が出来て、修正が面倒なフォントバグもないNeko Project 21/Wを他の人と同じように勧めることになってしまった。

ー旧作をHDDイメージに突っ込む(Disk Explorer)ー

hdiはイメージであってwindows上ではただのファイルだが普通に読み書きすることは出来ない。そこで、Disk Explorer(editdisk.exe)を使って旧作のファイルを書き込む。

※Anex86のanxdiet.exeも使える。

ソフトを起動してhdiを選択、旧作のファイルをドラッグ&ドロップして終了。

エミュレータの設定

ねこープロジェクトについては先人の記事を参照すべし。

ーT98-NEXTー

http://akiyuki.boy.jp/t98next/ DLしたファイルを解凍して好きな所に置く。

起動したら運用タブのDISKタブを開いてhdiを指定するために斜線部をクリックして参照する。(下のやつでも良い)

次にマザーボードタブを開いてクロックを64MHzに変更して性能を上げる。

PC-98のピポッ音がまともに聞けなくなるが仕方ない。

作動倍率を上げるとゲームが高速になってしまうので注意。

次にデバイスタブのGDC.nhwをダブルクリックか下の詳細設定を押して開く。

CRT SETTINGでお好みの値にすればウインドウが大きくなって見やすくなる。

※フルスクリーンは終了するのにタスクマネージャーが要るので非推奨。

終わったら起動して旧作をインストール。Enter二回押しで早くコマンドの画面へ行ける。

封魔録はそのままでOKで他はcdコマンドで移動してからexeを実行すれば良い。

インストールしたら「game」と打ってEnterを押すだけ。

※他ゲームに移動するときは必ず cd a:¥th0○tr と打つこと。

ー問題発生したとき(拍子抜け)ー

封魔録からやろうと思って起動すると、

MIDIボードが見つかりません」の所で止まることがある。

それならT98用のMIDIモジュールを持って来よう。

Thor-Hammerのホームページ

T98-NEXT(7th Beta以降)用MPU98モジュールをDLしたら解凍してMPU98.NHWをdeviceフォルダに入れてT98を再起動。そしてデバイスタブでMPU98.NHWを選択して下の「使用」ボタンから有効化。

また起動してみると、

今度は番号が競合しているらしい。しかしエミュで設定出来ないのでどうしようもない。

ところが、再起動した所、普通に起動した。

どうやら止まるのはただのバグだったらしい。拍子抜けだ。

MPU98を無効化しても変わらなかった。

このバグはAnex86やtouhou_pc98.hdiの環境でも起きたし、この後他の作品でもバグを確認した。体験版とはいえこのようなバグが直されていないのはおかしいので、恐らくエミュレータ + FreeDOS(98)の環境が悪いと思う。

もう一つ問題があって、封魔録を終了するとエラー音が鳴って勝手にEnterが押されたり文字が入力されたりゲームが再起動したりする。これは封魔録でしか起きないが、これも実機じゃないから起きると思われる。

ーAnex86ー

まずはエミュレータをダウンロード 

[ Anex86 : PC-9801 エミュレータ導入方法 ] - Mr.XRAY

解凍すると何かごちゃついているが、フォルダの中身についてはAnex86Options.txtを見れば分かる。しかしながらT98と同様、モジュールは要らないので無視しよう。

T98で使ったhdiはAnexでも使いまわせるのでコピペしても良いし、もう一回1からやっても良い。

起動したら最初に下にある「Local」にチェックを入れて日本語にする。

hdiを割り当てるには白いボックスの右にある「・・・」から参照すれば良い。

次に設定を開いてSoundタブを開く。

サウンドカードを「-86(86音源)」にする(旧作で推奨されている)。

・「忠実に計算」を有効化する。

次にWaveタブを開いてサンプリングレートを44KHzにして音質を上げる。

敢えてそのままにしてレトロ感を楽しんでも良い。

T98の時と同様にインストールして起動すれば遊べるが、画面が小さいのでプレイしづらい。筆者の環境ではエミュのフルスクリーン(Alt + Enter)が上手く行かなかった。

そこで、フルスクリーン化するアプリを導入する。

「Magpie」と言う。ページ右側のReleasesから最新版を選んでDLしよう。

github.com

Zipファイルを解凍して好きな場所に置こう。筆者は C:¥ProgramFiles¥ に入れてスタートメニューにピン止めした。起動したら「スケーリング」の所を見てほしい。

Windowsキー + Alt + Aでフルスクリーン化が出来るようになった筈だ。

しかし、画質が悪い。

スケーリングモードを変えよう。Magpieの左側の「デフォルト」を開いて、スケーリングモードから「Integer Scale 2x」を選ぶ。またフルスクリーン化すると、

画質は良いが少し小さい。今度はMagpieの左側の「スケーリング設定」を開く。一番下にある「Integer Scale 2x」を開いて出てくる「Nearest」の右にある拡大アイコンをクリック。幅と高さの倍率を両方2.7にする。※FullHD 1920 x 1080の時

WQHDや4Kの人はMagpieの研究をするか、ねこプロジェクトを使うか選ぶことになる。

これも結局拡大なので少し画質は落ちているはずだが、十分な大きさになった。

ちなみに、デフォルトのスケーリングモードを「CRT-Geom」にするとブラウン管風の見た目になる。さらにサンプリングレートも下げて平成レトロを楽しもう。また、これらの方法はT98でも使うことが出来る。

エミュレータの比較と細かい設定

Neko Project 21/W(更新継続中、映像と表示が良い)

ねこープロジェクトの良いところ

・exe実行でそのままエミュが立ち上がる!

・標準フルスクリーンが優秀!

・ちょっとした機能が多い!

・フォントバグが無い!

ねこープロジェクトの悪いところ

GDCクロックの変更が必要(GDC.EXEで5MHz→2.5MHzへ)

・設定とエミュが一体だから設定見るだけでエミュが止まる!

・初期設定だと音源の音量バランスが変!(調整可能)

・PrintScreenキーが使えない!(通常時はウインドウが非アクティブなら撮れる。)

(フルスクリーンの時、SSは「その他」タブのBMP画面キャプチャで撮れる

↓ゲーム中にPrtScを押してはいけない(怪綺談にて)↓

ー日本語化ー

exeが入っているbinフォルダに「langage」フォルダがあるので中に入っている、

・np2x64_932.dll(32ビットならnp2_932.dll)

・np2x64_1252.dll(32ビットならnp2_1252.dll)

をbinフォルダにコピぺか移動をすれば日本語になる。

ー音量バランスの変更(日本語化前提)ー

メロディーを重視するか、ベースやドラムを重視するかは人によるが、筆者はメロディーを重視したいので「デバイス」タブの「サウンドボード設定」を開いて、

「既定値2」を選択。「既定値1」で元に戻せる。

これで良い感じになった。

Anex86(更新終了済み、音が良い)

Anexの良いところ

・デフォルトでも音量バランスが良い!(ただし音量が大きい)

・設定が細かい!

・ボタン一つで日本語化!

・デフォルトでもそこそこ高性能!

Anexの悪いところ

・フォントバグあり!(かわりに実機のフォントを持って来る事が出来る)

・標準フルスクリーンが使えない!(Windows11 23H2、GTX1660Super)

・CPU設定が無い!(代わりに映像設定で調整する)

・ピポッ音が聞けない!(EpsonPCのエミュレータだから仕方がない)

FPSを上げるー

前回では映像系の設定はいじっていなかったが、いじった方がFPSが上がって快適になることが分かった。

設定の「Video」タブの「画面更新」を「同期」にして値を1にする。

これでCPUをいじれるねこープロジェクトやT98-NEXT程では無いがぬるぬるになる。

T98-NEXT(更新終了済み、セーブ機能付き)

T98の良いところ

・見た目がシンプル!

・セーブ&ロードが出来る!(最大8個のセーブ)

・「続きから」がある!(終了時の状態から再開出来る)

・ウインドウの大きさ変更が出来る!(ウインドウ派向け)

T98の悪いところ

・古い!(最終更新2010/5/25)

・デフォルトだと音量バランスがおかしい!(調整可能)

・フォントバグあり(修正不可)

ー音量バランスの調整(おすすめ設定)ー

・「デバイス」タブの「Sound86.nhw」を開く。

・「内臓音源音量」のPCMを30、SSGを10、Rythmを10にする。

・「設定保存」を忘れずに。

6最後に

前は音の良さからAnexを推していたが、neko projectが簡単に音を変えられるのが分かってneko projectの欠点が無くなってしまった。

AMのページが無くなるまでこの話題は続いて行く事だろう。この様なさらっと出来るパソコン遊びはたまにやると楽しいので皆さんもネタを見つけてはいかがだろうか。